【現役顔負け】平成最強キャッチャー古田敦也×谷繁元信が解説する守備論②──盗塁阻止編

古田・谷繁の守備論①「キャッチング編」はこちらから
【現役顔負け】平成最強キャッチャー古田敦也×谷繁元信が解説する守備論①──キャッチング編

参照:古田・谷繁が伝授する盗塁阻止のコツ【キャッチャーズバイブル】

この動画では、古田敦也と谷繁元信が「盗塁阻止」をテーマに、
構え・キャッチング・体重移動・スローイング・ミット選びまで、かなり踏み込んだ話をしています。

ざっくり言うと、

「パスボールしない構え」と
「正確で速い送球」をどう両立させるか

を、二人の経験と感覚で解きほぐしている内容です。

目次

1. ランナーがいるときの構え方と「苦手ゾーン」ケア

古田がまず挙げたのは、

キャッチャーが一番パスボールしやすい場所は、
自分から遠い“外高め寄り”のゾーン

という話。

  • まっすぐのつもりが、少し真っスラ気味にスライドして
    → ミットが届き切らず「パーン」と弾いてしまう
  • 特にランナーがいる場面では、ここを抜かれると致命傷になる

そこで古田は、

  • ランナー有りのときはあらかじめ半身気味に構える
  • 右打者の外側(捕手から見て左方向)の“遠いゾーン”をケアしやすい角度にしておく

と説明します。

さらに大事なのが、取りに行くときの上半身の向き

  • 多くのキャッチャーは、外に取りに行くのに上体が後ろに逃げる
    → 結果的にボールから遠ざかる動きになり、後ろにそらしやすい
  • 本来であれば、
    → 取りに行く方向に自然と体重が乗っていくはず

そこを誤魔化さずに、
「半身の構え+取りに行く方向へ体重を素直に乗せる」ことで、
外高め寄りの“事故ゾーン”を減らしていた、という話です。

2. 取りづらい投手・球種と、その対処法

特に難しい球種とコースが、

  • ナチュラルなシュート変化をする右投手のストレート投手
  • 左投手のスライダー

が右打者の足元付近に流れた時。

古田は具体例として石井一久のスライダーを挙げ、

  • いつもの構えから“間に合わない”ことがある
  • そこで、スライダーが増える場面では投げる直前から脇を締めてミットを反時計回りに縦にして構える

これによってワンバウンド気味のボールでも対応しやすくしているとのこと。

このように「球種・投手によって構えと意識を微調整する」のがプロの感覚だと話しています。

3. 盗塁阻止のスローイング哲学

― “強さ”より「正確に・速く」

送球については、まず古田がこう言います。

若い頃は「とにかく強く投げなきゃ」と思っていた
けど途中から「正確に速く」に切り替えた

  • 全力で腕を振れば、すごい球は行くが、
    → コースが外れてセーフになることも多い
  • それよりも、
    → セカンドベース上のタッチポイントに正確に届くボールを、
    → なるべく速く投げる方がアウトは増える

という考えに変わったと話します。

優先順位は、

  1. 正確に投げる
  2. できるだけ速く
  3. 握りが悪いときは、多少緩んでも「届かせること」を優先

「タッチポイントにさえ届けば、あとは野手の仕事」という割り切りです。

4. 一番大事な“体重移動”:受けたら負け

盗塁がスタートした瞬間に何をするか、という話になると、
二人とも強く強調したのがこれ:

受けたら負け

  • 投球が来てから反応していては、もう間に合わない
  • ランナーが走ったと感じた瞬間に、
    → 左足側に体重をほんの少し前に乗せる

古田は、

  • 「甲斐の送球を見ていると分かる」と前置きしつつ、
    → 甲斐もスタートした瞬間に上体と重心を前にスッと移している
    → それだけで0.1秒は違う、と説明します。

そこから、

  • 前に乗せた勢いで、右足をしっかり踏み出す
  • 踏み出しの大きさを必要以上に小さくせず、
    → 「右足にきちんと乗せてから投げる」

この「前に乗る → 右足で受ける → 送球」という流れが、
速く見えるスローイングの正体だ、とまとめています。

5. 構え方の違い:二人の「半身」の度合い

動画の途中では、実際に並んで構えを見せ合う場面もあります。

  • 古田:かなりハッキリした「半身」
    • 左肩が前に出て、体が投げる方向にやや開いている
  • 谷繁:そこまで極端な半身ではなく、
    • 左足の角度を変えて対応するタイプ

三塁送球や二塁送球によって、

  • どの程度半身にするか
  • 左足をどれくらい落とすか

といった微調整は違うものの、
「ランナーの動きに合わせて、いつでも前に出られる構え」という点は共通しています。

また、最初からずっと腰を高く構えるメジャー風スタイルも一時期試したが、

  • 日本の長いシーズンでは体への負担が大きい
  • 「走った瞬間に少しだけ腰を上げる」程度が現実的

といった、実務的な話も付け加えられています。

6. 捕球から送球までを速くする「円運動」

スローイング動作の細かい技術として、二人が揃って否定しているのが、

「ボールを前で取りに行って、そこからまっすぐ胸に引き寄せる」

というやり方。

  • 前で取りに行くと、
    → ミットと右手の動きに“戻り”が多くなり、
    → ジャッグル(握り損ね)が増える
  • 若い頃は「ここで捕って、胸元で右手に渡す」が教科書だったが、
    → 実戦ではもっと効率の良い形がある

そこで二人が採用していたのが、

「ミットに来たボールを、そのまま右手に“渡す”」
そして、
捕ってから右手までを“円を描くように”動かす

という方法です。

  • ミットで“取りに行く”のではなく、
    → 体の近くでボールを受け止め、その場で右手にスッと渡す
  • 右手は胸の前あたりに待たせておき、
    → ミットから受けたボールを小さな円でトップポジションへ運ぶ

直線的に「捕る→胸に引く→振りかぶる」と動かすと、
各ポイントでジャッグルのリスクが増えるので、
“ひと続きの円運動”で一気に投げられる形を作る、という考え方です。

7. 正確な送球のための「狙いどころ」

どこを見て投げているか、という話では、
古田がこんな感覚を語っています。

  • セカンドベースそのもの(40m先の一点)を凝視するのではなく、
    → ピッチャーの頭付近を“的”としてイメージする
  • 握りが悪いと感じたときは、
    → 少し高めに投げて「山なり+ワンバウンド」でもOK
  • 逆に、しっかり縫い目をつかめたときは、
    → 自分の一番好きな“低くて伸びるライン”に投げる

谷繁は、

  • 縫い目合わせまでは「もう諦めている」と笑いながらも、
  • 毎日のスローイング練習で身につけた感覚で、
    → 「この辺りで離せばストライク送球になる」というゾーンを体に覚えさせている

と言います。

いずれにせよ、

「絶対ここに投げる」という一点ではなく、
「このラインに乗せれば内野が処理できる」という“帯”で狙う

というのが、プロの盗塁阻止の狙い方になっているようです。

8. 球種・ワンバウンドとの付き合い方

投げやすい球・投げづらい球

  • 右投手:ストレートとスライダーが一番投げやすい
  • シュート系は、体からミットが外に出るぶん、力が入りづらい
  • フォークは「走られたらもうしょうがない」と割り切り気味

フォークについて谷繁は、

「ワンバウンドで止めてくれればいいのに、
なぜノーバンで投げようとするのか」

と古田にツッコみを入れつつ(笑)、
「捕って投げる」タイプの難しさも語っています。

ワンバウンド処理のコツ

ワンバウンドへの対応については、

  • 真正面のワンバン:体でしっかり止めに行く
  • 横方向に大きくそれるワンバン:
    → 足を使って45度くらい前に飛び出し、体で抑えに行く

「ここまでは手でいく」「ここからは体で止める」といった
自分なりの基準を持ちつつ、
ピッチャーが嫌がらない選択(体で止めに行く)を優先するように訓練した、というエピソードも印象的です。

9. ミットのこだわりと“パスボールしたくない”思想

最後に、盗塁阻止と関係の深い「ミットの形」について。

古田のミット

  • 規定サイズギリギリまでとにかく大きく
  • その代わり、革や芯を工夫して軽く仕上げる
  • 理由はシンプルで、
    → 「プロの速い球をパスボールしたくない」
    → 少しでも当たってくれれば止められるようにしたい

谷繁のミット

  • 古田より一回り小ぶりで、ポケットは深め
  • 網目の紐を緩めて“広いポケット”にするのではなく、
    → 逆にタイトにして、ミットのどこで受けても
    → 最終的に同じ場所にボールが収まるようにしたい
  • タグプレーでボールを弾かれにくいよう、
    → 口はやや狭く、少し握るだけでボールが引っかかる形にしている

また、「最近のミットは最初から“包み込む”形になっている」「昔は片側だけ折れるミットだった」といったミット進化史にも触れつつ、

大きさもポケットの深さも違うけれど、
「パスボールを減らしつつ、すぐにボールを出せるミット」を目指している点は同じ

と締めくくっています。

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