目次
どんなプレイ?
- 状況:10/28 第3戦・6回裏 2死一、二塁。打者は阪神・坂本誠志郎。
- 内容:ショート後方へ上がった飛球を、今宮健太(遊撃)が背走気味に好捕。これで同点の走者を置いたままイニング終了(2–1でリード維持)。
試合への影響
- 失点阻止の価値:落ちれば二塁走者が還って同点になり得る浅めのフライ系の当たり。これを抑えたことで、1点リード(2–1)を温存し、その後は継投(藤井→松本裕→杉山)で逃げ切り。ゲームの帰趨に直結したビッグプレーでした。
- 守備の“揺り戻し”:この試合のソフトバンクは攻守でミスもありながら、投手力と要所の守りで凌ぐ展開。
技術的な見どころ
- 打球判断と初動:内外野の“間”に上がる打球で外野手も入りにくい場面。一歩目の判断(ドロップステップ)→背走の姿勢制御→グラブプレースまでスムーズで、落球のリスクを極小化。
- ゲームプラン適合:第3戦はモイネロ6回1失点の後を勝ちパ継投で締める「守り切る型」。要所の一本を消す遊撃守備は、まさにそのプランの要でした。
似た過去のビッグプレー
2022年8月31日@PayPayドーム(対 ロッテ)
8回、岡大海の後方ハーフライナーに背走→ジャンピングキャッチ後に一回転着地。パ・リーグTVの映像が拡散され、「無重力キャッチ」と呼ばれた一幕。
2014年6月8日@甲子園(対 阪神)
7回、上本博紀のショート後方への小フライに背走→ジャンプで逆シングル捕球。いったんグラブからこぼれた球を空中でつかみ直す離れ業でアウトに。現地は阪神ファンからも拍手という“伝説級”の美技でした。
初動の速さ×正しいルート×空中での体勢制御。そこにグラブワークと判断の勇気が噛み合うから、あの“ショート後方ジャンピングキャッチ”が成立します。要素を分解しますね。
身体能力・運動スキル
- 一歩目(ドロップステップ)の速さ
打球が上がった瞬間に“後ろへ一歩”を切れる反応速度。外野任せにせず「自分の打球」に変える鍵。 - ルート効率(回り込まない直線的背走)
斜め後方へ最短コースで入り、最後の2〜3歩で微調整できる余裕を残す走り方。結果、ジャンプの可否も自分で選べる。 - 減速と踏み切りのコントロール
“走る→減速→跳ぶ→着地”の切替がスムーズ。空中での体幹の固定ができるから、逆シングルでもボールを弾きにくい。 - 肩・手首の可動域と空中再捕
背走で胸が開きにくい柔軟性と、手首の柔らかさ。こぼれかけても“空中で取り直す”芸当はここから。
グラブワーク・キャッチ技術
- 逆シングル(オーバーショルダー)の選択眼
頭上〜背後に抜ける角度は正面取りより逆シングルが最短到達。捕球点を“前に”置けるから落球リスクが下がる。 - ボール回転の読解
小フライはスライスやフォーク回転で最後に逃げる。スピン方向を見極めて、グラブ面を早めに“待ち”で作る。 - 視線の安定(ヘッドスタビリティ)
背走中に頭が上下しない=眼がブレないので、最終の半歩を合わせやすい。
判断力・野球IQ
- 外野とのコミュニケーションと責任範囲判断
「誰の打球か」を初動で決め切る決断力。曖昧にして減速するのが一番危険なので、声とジェスチャーで主導権を取る。 - 試合状況の価値判断(RE/WEの感覚)
2死一二塁・一点差など“落とせない打球”かどうかを瞬時に評価。リスクを取ってでも前に出るべき局面を選べる。 - 風・照明・打者傾向の事前メモリ
球場の風向、打者の打球角度、投手の球質から打球の上がり方を事前に想定してポジショニングを数歩変える。
メンタル
- 恐れない勇気と反復から来る自信
後方小フライは落球=致命傷になりやすいプレー。迷わない胆力と、何百回も成功させた成功体験の積み重ねが背中を押す。 - 一球ごとのリセット力
直前のプレーの成否に引きずられず、次の打球にフラットで入れる集中の質。
どう磨くか(トレーニングの具体)
状況別シミュレーション:一点差・2死一二塁など、価値が高い場面だけを切り出して判断を養う。
背走キャッチの“短区間反復”:10〜15mでドロップステップ→2〜3歩で跳ぶ反復。最後の半歩を合わせるドリルを多めに。
逆シングルの角度練習:ノッカーにスライス回転を混ぜてもらい、グラブ面を早く作る癖付け。
視線安定ドリル:背走中にヘッドにセンサー/ビデオで揺れを可視化→小刻みステップで揺れを減らす。
コミュニケーション・コールのルール化:外野と“初動0.5秒で誰が行くか”を決める合図を事前共有。
参照:第3戦ゲームハイライト -SMBC日本シリーズ2025-
