【スコアパッド】出塁していないのに”残塁”?様々なシチュエーションにおける記載を解説|野球スコアブックの書き方

スコアには、ストライクやボールの投打の[バッターボックス]での記録と共に、バッターが行った結果である[リザルト]も記載するのがセオリーなのは、言うまでもないことでしょう。

グラウンドのダイアモンドを見立てたひし形を中心に、4隅に区切られた箇所を各塁上で起きたことをそれぞれ記載していきます。野球というスポーツをスコアとして記録する際に、必要最小限でまとめられていて、幾度触れてもワクワクさせる趣きを感じさせるほど美しく、秀逸にできていると感じますね。

その中心のひし形には、<アウトカウント(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ)>、<得点>、<残塁>という、トータル3つの種類しか書き入れないのですが、今回はその中の一つ、「残塁」の記録の特殊な例についてです。

目次

残塁の「ℓ」は「LEFT ON BASE」の略

スコア上での残塁は、「ℓ」と英語の「L」の筆記体で記載するのがセオリーとされています。これは、「LEFT ON BASE」の略記のことで、筆記体で書くことでアウトカウントを示す「Ⅰ」や「Ⅱ」との見分けがつきやすいよう考えられたのでしょう。

残塁はまさに書いて字のごとく、出塁したバッターがそれぞれの塁上には進んだものの、スリーアウトとなってホームへと生還できなかった場合に記録するもので、出塁を許したもののそれらのランナーによる得点はなかったという証です。なので、攻撃側としては「あーぁ」となり、守備側としては「よっしゃー!」の記録でもあります。

ただ、この「残塁」。実は、実際にバッターランナーが一塁を踏んでいないシチュエーションであるにも関わらず、記録されることがあるのです。

「塁に出ていないのに”残塁”?」

一体、どういうことでしょうか?

特定のシチュエーションによって記録される「残塁」

野球は、「ルールで形作られたスポーツ」と言われるだけあって、現代野球の形式に至るまで、実に様々なルールが付け加えられ続けられて体系化された、スポーツの中でも類を見ない複雑さを持っているジャンルです。実際、「ピッチクロック」「リクエスト」「申告敬遠」、果ては「大谷ルール」などといった、新たなルールがいまだに付け加えられ続けています。

野球に初めて触れたり、興味を持って観戦したりする際に、覚えるのが妙にややこしいルールの中の一つに、「打者であるバッターランナーが、出塁が可能となる打撃を行った場合でも、すでに別のランナーが塁上にいる場合には、そのランナーに対するアウトのプレーが行われる場合がある」というところでしょう。こうして文章にするだけでも、かなりのややこしさです。

つまり、以下のようなシチュエーションに限り、バッターランナーが一塁に到達していない場合でも、そのバッターには「残塁」が記録されるのです。

・アウトカウントが、ツーアウトであること
・バッターの前に、すでに塁上に別のランナーがいること
・バッターではなく、そのランナーが守備のプレイによってアウトを喫しスリーアウトチェンジになること

さて、このように書かれても、「いったいどういうこと?」という感じだと思うので、具体的なシチュエーションで説明します。

具体例:ツーアウト・ランナー一塁の場合

アウトカウントはツーアウト、ランナーが一塁にいる場合とします。

この時、バッターがサードゴロを放ち、サードは捕球したボールを2塁ベースに入ったセカンドへと転送し、セカンド・フォースアウトとなりました。これでスリーアウト・チェンジで、このイニングの攻撃は終了となります。

さて、ではこのサードゴロを打ったバッターの記録上の扱いはどうなるでしょう?

そうです。このシチュエーションに限り、バッターである打者のリザルトには、塁上のランナーになっていないのにも関わらず「残塁」の記録がつくのです。

  • 先頭打者がヒットで出塁するも、その後に凡打が続いてツーアウト。7番打者がサードゴロ、そのボールがセカンドがカバーに入った二塁塁上へと転送されてスリーアウトを喫した場合、7番打者には出塁をしていないにも関わらず、「残塁=ℓ」が記録される。

これがもし、ゴロを捕球したサードが一塁へと転送してフォースアウトとなった場合には、もちろん打者のリザルトにスリーアウトを示す「」を記載し、前のランナーには文字通り「残塁=ℓ」を記載します。バッターによる打球が守備側のプレーによって、どの塁上でスリーアウト目を記録したかによって、記録上も異なった記載になるのです。

試合後にスコアを見るだけで、試合で起きた試合展開がつぶさに、しかも正確に振り返ることができるよう、しっかりと体系化されているのですね。こんな複雑なルールまでも記録に残せるように考えられている点も、スコアをつける一つの醍醐味と言えるでしょう。

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