【徹底解説】”ピンチほど笑う男” ― 2025最優秀中継ぎタイトル獲得|読売ジャイアンツ・大勢は、なぜ打たれないのか?

目次

今季の成績と「飛躍」の中身

  • 62試合登板
  • 8勝4敗1セーブ
  • 46ホールド、54ホールドポイント(リーグトップ)
  • 投球回:59回2/3
  • 防御率:2.11、被打率.214、WHIP 1.02、奪三振60(K/9=9.05)
  • 被本塁打:4、与四球:14

最速は158キロ。平均でも150キロ台中盤に届くストレートに、鋭く落ちるフォーク、的を絞らせないスライダー。球場別では、とくに東京ドームでの数字が異次元で、

  • 東京ドーム:29回1/3で防御率0.92、被打率.179

ほぼ「試合終了前の守護神」として機能していました。

一方で、巨人はシーズン70勝69敗4分、3位でフィニッシュ。チーム防御率2.95と「投手力のチーム」で、その中継ぎ陣の中心に大勢がいた格好です。

54ホールドポイントということは、巨人の勝ち試合の多くに大勢の名前が刻まれている計算で、「勝ちゲームの8回=大勢」という図式が完全に定着した一年でした。

2. 投球術・配球・ピンチ回避能力の進化

配球の軸:高めストレート+低めスライダー/フォーク

今季の大勢は、以前の「力でねじ伏せるクローザー」から一段階ギアチェンジして、

  • 初球はストライクゾーンに強いストレートを投げ込みカウント主導権を奪う
  • 追い込んでからは、
    • 高めの空振りを狙う真っすぐ
    • 低めに落とすフォーク
    • 外に逃がすスライダー

という“縦横のコンボ”がはっきりしていました。

とくにDeNA戦では10試合9回1/3を投げて被安打1、被打率わずか.037とほぼ完璧。
右の強打者が並ぶ打線に対し、

  • 150キロ台後半のストレートをインゾーンで見せる
  • 同じ球筋からスライダーをバックドア気味に出し入れする

という組み立てがハマり、芯で打たせない投球が目立ちました。

代表的な「ピンチ封じ」のシーン

3月30日 vs ヤクルト(東京ドーム)

3–0で迎えた8回。先頭・赤羽にピッチャー強襲の内野安打を許し、一発が出れば嫌なムードになる場面。ここからが大勢の真骨頂でした。

  • 西川には真っすぐで押して空振り三振
  • サンタナにはゾーンギリギリから落とす球で見逃し三振
  • 4番オスナはゴロで封じて無失点

まだシーズン序盤でしたが、「今年の巨人の8回は固い」と感じさせる象徴的なイニングでした。

4月29日 vs 広島(東京ドーム)

延長11回、12回と2イニングを任され、3奪三振無失点
試合は12回裏に巨人がサヨナラ勝ちし、大勢は今季3勝目。

11回は、決め球のスライダーで三振を奪い、12回はフォークと真っすぐのコンビネーションでゴロを量産。
「8回の男」が、ここでは“ロングリリーフもできる影のエース”へと顔を見せたゲームでした。

クラッチ局面での強さ

  • 8回起用が圧倒的多数
  • 救援登板として防御率2.11、被打率.214
  • 被本塁打4と長打を極力抑制

総合的に「ランナーは出してもホームは踏ませない」タイプ。
実際、広島やヤクルトなど、一発のある打線相手には打たれる場面こそあれど、最後は三振かゴロで締めるケースが多く、失点の“連鎖”がほとんどありませんでした。

最優秀中継ぎタイトル争いと最大のライバル

2025年セ・リーグ最優秀中継ぎ投手は、大勢(ホールドポイント54)が受賞。

このタイトル争いで最大のライバルとなったのが、

阪神タイガース・及川雅貴投手

です。

  • 及川:66試合登板、6勝3敗1セーブ、46ホールド、ホールドポイント52、防御率0.87
  • 大勢:62試合登板、8勝4敗1セーブ、46ホールド、ホールドポイント54、防御率2.11

数字だけ見れば、

  • 防御率・安定感 → 及川
  • ホールドポイントの総数 → 大勢

という拮抗した構図でした。

大勢が及川を上回れた「差」

  1. 救援勝利の多さ(8勝)
    • 引き分けやビハインドから登板して逆転を呼び込む展開が多く、ホールドポイントの加点を積み重ねた。
    • 阪神は先発~岩崎までの勝ちパターンが完成しており、及川の登板は「リード時の8回固定」が多かった分、救援勝利というチャンスはやや少なかった。
  2. “一番きつい回”を任され続けた起用法
    • 巨人はリード僅差の8回だけでなく、同点やビハインドでも相手クリーンアップと当たる場面で大勢を投入。
    • DeNAや阪神の主軸、パ・リーグでは近藤健介らに対しても、高めのストレートとフォークで真っ向勝負し、被打率を低く抑えました。
  3. “再コンバート組”としての説得力
    • かつてクローザーを務めた男が、役割を中継ぎに変えてもなおリーグトップ級の成績を残した――というストーリー性も含め、投票者の印象としてプラスに働いたと推測されます。

数字のうえでは紙一重の争いでしたが、「試合の一番のヤマ場」を担当する頻度と、そこで上積みした救援勝利が、大勢をタイトルホルダーに押し上げたと言えます。

チームへの影響:3位浮上を支えた「8回の守護神」

巨人の2025年は、打線がやや波の大きいシーズンでしたが、
チーム防御率2.95と、投手陣が最後までCS争いに踏みとどまらせました。

そのなかで、大勢の

  • 46ホールド
  • 8救援勝利

は、数字以上に「試合の流れ」を変えています。

  • リード時にきっちり0でつなぎ、抑えのマルティネスにつなぐ
  • 同点・ビハインドでも相手の中軸を止めて、攻撃に勢いを渡す

という「流れ止め役」「流れ呼び役」の両面を担ったことで、3位という最終順位の“土台”を作ったと言っていい存在でした。

来季へ生かせる点と、克服すべき課題

ポジティブ材料

  1. 四球の少なさとK/BBの良さ
  • 与四球14に対して奪三振60(K/BB≒4.3、BB/9≒2.1)

「ゾーンで勝負しても打たれない」自信がついた結果、カウントを悪くする四球が大きく減りました。

  1. ホームゲームでの圧倒的安定感
  • 東京ドーム:防御率0.92、WHIP0.82、被打率.179

地の利を最大限に生かし、本拠地ではほぼ打ち崩される気配がありません。

  1. 後半戦での上方修正

オールスター後の成績は20回で防御率1.80と、一段ギアを上げた数字。
前半戦のやや不安定な日もあった中から、フォームと配球の微調整に成功したシーズンとも言えます。

課題

  1. ビジター球場での数字
  • ホーム防御率1.08に対し、ビジターでは3.42。被打率もやや高い.242。

マウンドの硬さや照明、風向きが変わるなかで、

  • 立ち上がりの制球のバラつき
  • スライダーの抜け

が、失点に直結したケースが見られました。来季はビジターでの最初の数球をどう「整えるか」がテーマになりそうです。

  1. 特定打線への相性
  • ヤクルト戦:被打率.271
  • 広島戦:被打率.294(防御率は2.19で踏ん張ったが、球数がかさむ傾向)

粘られ、ファウルでカウントを深くされる打者が多い相手に対しては、決め球の見せ方を工夫する必要があります。

→ 来季のポイント

  • 初球からフォーク・スライダーを“見せ球”として使い、真っすぐをより活かす
  • ビジター球場ごとに「この球場はこの配球」というパターンを整理する
  • 連投時でもフォロースルーを小さくするなど、フォームの再現性を高める

これらがハマれば、来季も

「登板60試合前後、防御率2点台前半、ホールドポイント50台」

と、今年と同等かそれ以上の活躍が現実的なラインと見ていいでしょう。

2025年・大勢の「ベストピッチ5選」

① 3月30日 vs ヤクルト(東京ドーム)

巨人 3–0 ヤクルト

  • スコア:3点リードの8回を1回無失点、2奪三振
  • 内容:先頭に内野安打を許しながら、西川・サンタナを連続三振、オスナをゴロアウト。

「2025年版・大勢の仕事」をシーズン最初期に見せつけたゲーム。
高めのストレートと低めスライダーのコンビネーションで、ヤクルトの上位打線をねじ伏せ、「今年の巨人はリードして8回に入れば勝ち」と感じさせる初登板でした。


② 4月29日 vs 広島(東京ドーム)

巨人 4x–3 広島(延長12回サヨナラ)

  • 延長11回・12回の2イニングを無失点、3奪三振
  • このあと12回裏に巨人がサヨナラ勝ちし、大勢は今季3勝目

延長に入り、互いのブルペンが総動員になるなか、
11回は三振2つを含む完璧な投球、12回も走者を背負いながらフォークとスライダーで詰まらせて0点に抑えました。

「1イニング限定のパワーピッチャー」から、
「延長戦でも任せられる勝負どころのエースリリーバー」へ。

役割の幅が広がったことを証明した一戦でした。


③ 6月11日 vs ソフトバンク(みずほPayPayドーム)

ソフトバンク 3–7 巨人〇

  • スコア:4点リードの8回に登板し、1回を1安打1四球2奪三振で無失点

敵地PayPayドームで、近藤健介らリーグ屈指の好打者を相手にしたイニング。
やや制球を乱して走者を背負いながらも、

  • 外角高めへ伸びるストレート
  • 右打者の膝元に食い込むスライダー

で空振りを奪い、パ・リーグの強力打線を封じ込めました。

この試合は西舘の今季初勝利でもあり、大勢の8回無失点が「交流戦での苦しい流れを止めた」ゲームとして記憶に残ります。


④ 9月10日 vs 広島(東京ドーム)

〇巨人 4–3 広島 

  • 終盤同点、8回二死一・二塁のピンチで登板
  • 広島の佐々木を156キロ級のストレートで打ち取り、無失点で切り抜ける
  • 直後にチームが勝ち越し、大勢に今季8勝目が転がり込む
  • この試合でホールドポイントを49とし、当時のリーグ記録に並ぶ

走者を背負った状態からの緊急登板。いきなり最速付近まで球速を上げ、インパクトのある真っすぐで空振り、あるいは差し込んでの外野フライに仕留めたシーンは、「ピンチほどギアが上がる」大勢らしさが凝縮されていました。


⑤ 9月17日 vs ヤクルト(明治神宮野球場)

ヤクルト 2–4 巨人

  • 2点リードの8回を任され、1回無失点
  • この登板で今季42ホールド、ホールドポイント50に到達
  • 最優秀中継ぎ争いで頭一つ抜け出す節目のゲーム

ビジターの神宮で、ヤクルト打線の中軸を相手に、

  • フォークでバットの上っ面を叩かせる
  • 外角ギリギリのスライダーで見逃し三振を奪う

と、ストライクゾーンの四隅をフルに使った投球。
試合後には阿部監督も“タイトルを意識しない方がおかしい数字”と評するほどで、大勢の2025年を象徴する一夜になりました。

参照:【9月17日(水) ヤクルト2-4巨人】 <SWALLOWS BASEBALL L!VE 2025/フジテレビ公式>

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