【徹底分析】数字で読み解くシカゴカブス・今永昇太 ― 与四球“最少級”の美学と、来季ブレイクの条件

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2025年の総括と投球内容

カブスの開幕投手として東京シリーズから火蓋を切った今永は、レギュラーシーズン25先発で9勝8敗、防御率3.73、WHIP0.99、144.2回奪三振117、与四球26、本塁打31というライン(K/9=7.28、BB/9=1.62、HR/9=1.93)。

良かった点

  • 与四球の少なさ:WHIP0.99は「ヒット+四球」を145未満/145回近くで抑えた計算。制球質は一級で、シーズンを通して「自滅」をほぼ回避。
  • スイーパー&スプリットの質:Statcastの球種別成績では、スイーパーのWhiff%35.4、RV/100=+2.4スプリットのWhiff%32.4と空振り獲得能力が高い。速球依存を下げ、横変化+落差で的を絞らせなかった。
  • 復帰直後のキメ細かな投球:5月にハムストリングを痛めたのち、6/26の復帰登板で1安打無失点。球威よりコマンドでカウントを先行させ、球数77で5回をゼロ封した。

注目点と課題

  • フライボール化と被弾:2025のゴロ率30%(MLB平均44.2%)で、バレル率11.6%。フライが増えたぶん長打の痛手が大きく、被本塁打31が失点の大半を占めた。4シームはRV/100=-0.9とマイナス評価。真っすぐ単体では打者に上回られた格好。
  • 終盤の失速:9月は6.51ERA。被本塁打10と極端に精度が下がり、ボール球を見極められる場面が多くみられた。

チームへの影響

カブスは92勝70敗で地区2位、ワイルドカードを勝ち抜くもNLDS5戦目で敗退。WCシリーズとNLDSで先発・ロングリリーフを務めたが黒星を喫し、ポストシーズンでは苦い結果となった。

来季に向けて:活かせる点/克服ポイント/活躍予測

  • 活かすべき強み
    • 制球×球種の多面性:BB/9=1.62の基盤に、スイーパー/スプリットで空振り・見逃しを両取り。配球の“横幅”を活かし、真っすぐは見せ球とゾーン上限の使い分けに徹する形がハマる。
  • 克服ポイント
    • 高めフォーシームの被弾管理:4シームの失点期待値が悪化。ゾーン上部のIVB(上方向変化)を活かすにせよ、配球上の頻度・局面の最適化が要る。カウント有利時の非直球(スイーパー/スプリット)比率を上げ、不用意な甘めのストライクを減らしたい。
    • 球場相性の最適化:フライボール型×被弾課題ゆえ、HR抑制型の本拠地はパフォーマンスを底上げしやすい。
  • 成績予測
    • 本拠地球場や味方の守備、自身の体調のそれぞれが平均的に機能すれば、通算150〜160イニング、ERA3.40〜3.90、fWAR 2〜3の“堅実なローテ2〜3番手”が現実的。被弾特性が下がれば、それ以上の可能性も

FA市場で“有望な移籍先”(2025年11月7日 現在)

  • 球団・本人のオプション双方が流れ、FA資格取得QO(22.025M)提示の可能性が報じられるなか、中堅〜上位ローテの需要は大きい。
  • 被弾課題×フライボール傾向を踏まえ、「HRが出にくい本拠地」「先発の厚みを欲する球団」を優先的に挙げたい。(※AL = アメリカン・リーグ、NL = ナショナル・リーグ)
  • サンフランシスコ・ジャイアンツ(オラクル・パーク) – NL西地区
    HRファクターがMLBでも最低水準で知られる広大な外野。フライボール型に最適の環境で、左腕の価値を最大化できる。先発の枚数補強ニーズも恒常的。
  • シアトルマリナーズ(T-モバイル・パーク)– AL西地区
    近年は投手有利の度合いが高く、長打抑制に寄与。上位ローテは強力だが、技巧派左腕のタイプ分けでポストシーズンのマッチアップ幅が広がる。
  • サンディエコパドレス(ペトコ・パーク)– NL西地区
    歴史的に投手有利の球場。ナ・リーグ西地区での対戦経験も積んでおり、ゴロでなく“弱いフライ”を許容する設計が噛み合う。
  • デトロイトタイガース(コメリカ・パーク)– AL中地区
    ア・リーグ中地区の広い外野と、新興投手陣への安定ローテ要員需要。被弾抑制に地の利あり。
  • (再契約 → 残留の可能性)シカゴ・カブス – NL中地区
    クオリファイングオファーの提示を受け、短中期再契約も選択肢の一つ。球団側の決断プロセスは詳細に報じられており、交渉余地は残る。

2025年「技術が際立った」5登板+1

  1. 3月29日 @Dバックス|○4–3|チェイス・フィールド(アリゾナ)
     MLB開幕カードを7回1失点。緊張の場面もスプリットで凡打を量産、米メディアも“開幕勝利の立役者”と評価。
  2. 4月4日 vs パドレス|○3–1|リグレー・フィールド
     7.1回1失点。ゾーンの四隅を丁寧に使い、ゴロ/弱いフライを量産。ローテの柱として完璧な仕事。
  3. 4月15日 vs パドレス|○2–1(延長10回)|ペトコ・パーク
     5回無失点7K。広い球場を計算に入れ、スイーパー&スプリットでバレル回避。
  4. 7月13日 vs ヤンキース|○4–1|ヤンキー・スタジアム
     7回2安打1失点。強打線相手に真っすぐは見せ球、スイーパーで空振りを獲り、チームのシーズン勝ち越しを決めた。
  5. 7月19日 vs レッドソックス|○6–0|リグレー・フィールド〔▼動画にてピックアップ▼〕
     7回無失点。平均球速90mph台前半でも、投球設計で打者のタイミングを外す“今永らしさ”が凝縮。
    • 6月26日 vs カーディナルス|○3–0|ブッシュ・スタジアム—負傷明けで1安打無失点の復帰登板は、技術面・メンタル面ともに象徴的だった。

参照:Red Sox vs. Cubs Game Highlights (7/19/25) | MLB Highlights

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