【徹底分析】まだ終わらない“トリプルスリー男”― ヤクルト・山田哲人 神宮を揺らした12本と2026年へのラストメッセージ

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2025年成績詳細

  • 108試合/377打席/打率.231出塁率.300長打率.388OPS.68712本塁打37打点/3盗塁/四球33・死球2・三振63
  • BABIP(インプレー打球の打率)は.247とかなり低めで、RC(打撃による得点貢献)は7.1、RCWINは-1.95と、打撃トータルでは「平均よりやや下」の評価。
  • 得点圏:打率.212/OPS.731/打点26・四球18・死球1・犠飛4
  • 対左右別:右投手相手.183、左投手相手.308と極端なスプリットで、12本塁打のうち8本が左投手から

1. 今季の打撃が「評価できる理由」と特徴

① 左投手キラーぶりが復活気味

  • 左投手相手:打率.308、8本塁打、打点23。右投手相手の.183(4本塁打)とは別人レベル
  • DeNA東克樹から12打数7安打1本塁打(打率.583)と、セ・リーグ屈指の左腕を打ち込んだのは象徴的。

相手バッテリーからすると「左をぶつけておけば安心できない右打者」 になっているのが、2025年の一番の強み。
左投手が追い込む前にカウント球を甘く入れると、レフト〜左中間に一気に運ばれるパターンが目立ちました。

② 長打力はまだ十分脅威

  • 長打率.388自体は全盛期ほどではないものの、12本塁打の質が高い
    • 開幕カード中日の松葉から通算300号の先制2ラン(4/5 神宮 2−0で勝利)。
    • 巨人戦での勝ち越し2ラン(8/20 神宮 7−2で勝利)。
    • 終盤9月の阪神・広島戦での2試合連続アーチ(9/21・9/27)。
  • シーズン終盤9〜10月は打率.324/出塁率.385/長打率.706と爆発。

→ 打球の「伸び」はまだ十分で、
「本当に怖いのは調子が上がってきた9月の山田」 という印象を相手に与えるシーズンでした。

③ 選球眼の良さと三振率の低さは健在

  • 四球33、死球2で、非安打での出塁は35回。
    • つまり「塁に出た113回(安打78+四死球35)」のうち約3割は四死球で作っている計算。
  • Baseball Chronicle上の三振率は18.6%で、今のNPBの中では「多くない」部類。
  • 完全に振れなくなったわけではなく、ゾーン管理と見極めは依然として高水準
  • 特に得点圏では、四球18・死球1と、打率.212の割には出塁率.34前後と「粘って出る」打席も多い。

④ 相手投手から見てイヤなポイント

  1. 左投手がインハイを強く振れない
    → 少しでも甘く入るとレフトスタンド直行。DeNA東克樹や阪神伊藤将司からのホームランは、その典型。
  2. ボールゾーンに簡単に手を出さない
    → 2025年でも四球率は約9%と悪くなく、カウント有利にされると配球の幅が一気に狭まる。
  3. 「ここで長打を打たれたくない」場面での一発
    → 8/20巨人戦、4−1に突き放すきっかけになった2ランなど、「試合を決める一撃」が顕在。

⑤ チームへの影響と勝利貢献

  • セイバーメトリクス的にはRCAA -28.6・RCWIN -1.95で「シーズントータルでは平均より下の打撃貢献」。
  • ただし、勝ち試合での印象的な一発が多く、勝敗インパクトは数字以上
    • 300号2ランでチームの3連勝に貢献(4/5 中日戦)。
    • 巨人戦7−2での勝ち越し2ラン(8/20)。
    • 阪神戦8−1での3安打(11号含む)で、王者阪神相手の大勝を演出(9/21)。
    • 終盤9/27広島戦での12号ソロは、3−1勝利のダメ押し点。

山田の2025年は
「年間通して無双したシーズンではないが、左投手キラー+要所の一発で貢献」
という評価が妥当。

2. 出塁・進塁打の観点から

出塁面の数字

  • 出塁率:.300(前年2024年と同じ.306→.300に微減)。
  • 四球:33(敬遠4)、死球2、犠飛4、犠打0。
  • 得点圏:
    • 打率.212(85打数18安打)
    • 四球18・死球1・犠飛4
      → OBPはざっくり.34前後、OPS.731。

良かった点

  • 四球は減っておらず、「崩れずに最低限出塁する」能力は保てている。
  • 得点圏ではヒットは少ないが、四球でランナーを溜めるケースも目立ち、打点26はチーム事情を考えれば悪くない数字。

課題

  • BABIP.247と低く、インプレーにした打球のほとんどがアウトになってしまっている状況。
    • フライ・ポップが増え、昔ほど「強いライナーで内外野の間を抜く打球」が減っている
    • 犠打0・進塁打タイプの打席も多くはなく、「つなぐ」より「一発で返す」色が依然として強い
    • 出塁率.300だと、「6番打者」としてはギリギリ及第点、5番固定となると少し物足りない水準。

3. 来季(2026年)に向けて

活かせる点(バッティング)

  1. 左投手対策の切り札としての価値
    • 左投手相手.308/8本塁打という数字は、チームにとって明確な武器。
    • 来季も「左先発が相手の試合では5〜6番二塁でスタメン確定」といった運用がハマりそう。
  2. 終盤9月の打撃フォーム
    • 9〜10月の打率.324/OPS 1.091と、短期間とはいえエース級の数字。
    • スイングのコンパクトさが戻り、引っ張りだけでなくセンター方向の長打も増加(数字的にも二塁打増)。
  3. 選球眼はまだ通用する
    • 三振率18.6%と「振らされ過ぎている」状態ではなく、
      フォームとタイミングがハマれば「.240〜.250/出塁率.320〜.330」くらいへの反発はかなり現実的。

克服すべき打撃の課題

  1. 右投手への対応(打率.183)
    • ストレートに差し込まれ、追い込まれてからの対応でゴロ・ポップが増えている。
    • 具体的には
      • ① カウント0-0, 1-0での「打ちに行く球」をもう一度明確にする
      • ② 右投のアウトロー変化球に対して、あくまで“見逃すライン”をはっきりさせる
        など、「狙い球の割り切り」が鍵。
  2. インプレー時の打球質改善
    • BABIPが.247まで落ちているので、フライ一辺倒になり過ぎないことが課題。
    • もう少しゴロ〜低いライナーを増やせれば、打率そのものも上がり、出塁率も自然と改善するはず。

守備での課題

  • 2025年の失策は4で、守備率そのものは悪くない印象。
  • ただ年齢的に二塁手としてのレンジ(守備範囲)は確実に全盛期より狭まっていると見るのが妥当。

今後のポイントは:

  1. ポジショニングとシフトの質
    • 反射神経よりも「打者と投手の組み合わせから打球方向を読む力」でカバーする段階。
  2. 送球の精度を落とさないこと
    • ダブルプレー時の送球でほんの少し乱れるだけで併殺が取れなくなるので、下半身のコンディション維持が重要。
  3. 一塁・三塁での併用も視野
    • チーム事情次第だが、時々一塁に回し負担を下げつつ、打撃に専念させる使い方もあり得るフェーズ。
    • ただし、一塁には鉄壁な守備と堅実な打撃のあるオスナが健在のだめ、守備機会よりも代打での一発期待の起用法が現実的か。

どのくらい活躍できそうか

120試合前後出られた場合の「現実的ライン」としては、以下の予測。

打率.240前後/出塁率.320〜.330/長打率.420〜.430/本塁打15〜18本

左投手相手には今季並みかそれ以上、右投手相手に少し戻せれば、「6番として上位に繋げる+左キラー」の役割で十分戦力になり得る。ただし、年俸に比してこの数値は、チームとしては明らかに物足りないライン

5. 2025年・技術が際立った打撃シーン 5選

① 4月5日 vs 中日(神宮)

  • 試合結果:ヤクルト 2-0 中日(神宮球場)
  • 個人成績:4打数1安打 1本塁打 2打点
  • 内容:2回裏、無死二塁からレフトスタンドへ通算300号となる先制2ラン。
    • 投手は松葉貴大。やや甘く入ったボールをコンパクトに叩き、打球が一気に伸びていく“山田らしい一発”。
    • この2点だけで試合は決まり、「節目の一打」でありつつ、技術的にも完璧なスイング。

② 8月20日 vs 巨人(神宮)

  • 試合結果:ヤクルト 7-2 巨人(神宮球場)
  • 個人成績:4打席2打数1安打 1本塁打 2打点 2四球
  • 内容:1−1の同点で迎えた4回、一死一塁からレフトスタンドへの8号2ランで勝ち越し。
    • その後の5回には四球で満塁を作り、古賀の走者一掃二塁打につなげるなど、
      一発+四球で試合の流れを完全にヤクルト側に引き寄せた試合

③ 9月18日 vs 巨人(神宮)

  • 試合結果:ヤクルト 5-0 巨人(神宮球場)
  • 個人成績:3打数1安打 1本塁打 1打点 1四球
  • 内容:2回に森田駿哉から10号ソロ。
    • 12年連続2桁本塁打&史上49人目通算1000得点のメモリアル弾。
    • 高めの球を逃さず振り抜き、追加点となる一発で試合の主導権を握る。
    • その後も四球で出塁し、「ヒット+四球」で相手バッテリーにプレッシャーをかけ続けた試合

参照:【スワローズ活躍シーン】山田哲人選手、12年連続2桁本塁打&史上49人目通算1000得点&高橋奎二投手、約2ヶ月半ぶりの登板で3勝目 9月18日 東京ヤクルトスワローズvs読売ジャイアンツ(神宮球場)

④ 9月21日 vs 阪神(神宮)

  • 試合結果:ヤクルト 8-1 阪神(神宮球場)
  • 個人成績:3打数3安打 1本塁打 2二塁打 2打点
  • 内容
    • 2回に伊藤将司から11号ソロ。続く打席でも右中間二塁打、さらに左翼線二塁打と、3打席連続の長打ショー
    • すべて内容のあるスイングで、王者阪神の左エースを完全攻略。
    • 「左投手キラー・山田」の象徴のような試合で、技術+対応力の高さが一気に表面化したゲーム。

⑤ 9月27日 vs 広島(神宮)

  • 試合結果:ヤクルト 3-1 広島(神宮球場)
  • 個人成績:2打数1安打 1本塁打 1打点(途中で北村恵と交代)
  • 内容
    • 2回に森翔平から12号ソロ。村上の2ランに続く一発で、序盤で3−1とリードを広げる決定打。
    • 少ない打席ながら、コンパクトなスイングでしっかりとポイントで捉える“職人のホームラン”という印象の一打。
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