以下の高木豊氏とダルビッシュ有選手の対談動画で、ダルビッシュが自身の投球術について解説している場面がありました。
自分に合った変化球の選び方や1球ごとのフォームの変化など、興味深い内容を要約してみました。
参照:【衝撃②】ダルビッシュのWBC出場の裏には”大谷翔平からのLINEが…”永久保存版「変化球論」
目次
1) 変化球は「何を覚えるか」より「自分の球質に合う“組み合わせ”を設計する」
- 高木が「今後、絶対に覚えた方がいい変化球はある?」と問うが、ダルビッシュは“万能の正解”を否定する。
重要なのは流行の球種を追うことではなく、自分のストレートの性質(球質・変化・角度)を起点に、最適な変化球を選ぶことだという。 - ダルビッシュが前提に置いているのは、投球全体を「差を作る設計」として見る視点。
例として、ストレートが- シュート成分(内側に寄る・腕側に動く要素)が強いタイプなら、反対方向に大きく動く球で“横の差”を作る、など
- 高めに吹き上がる/浮き上がるように見えるタイプなら、縦に落ちるカーブで“縦の差”を作る、など
“幅(差)を作ることが大事”と話す。
- さらに「スプリット」ひとつ取っても、ジャイロ系が合うのか、サイドスピン系が合うのかというように、球種名ではなく“回転・軌道のタイプ”で選ぶべきだと言う。
ここが、ただ「スプリット覚えろ」「大きいスライダー覚えろ」みたいな話と違うポイント。 - 学び方についても、米国の施設(例:ドライブラインのような知見)で「あなたはこういう直球だから、こう変化させよう」と設計できる時代になっている一方で、若い投手が球種習得を短絡的に捉えがちなのを見て「もう少し深く考えた方がいい」と釘を刺している。
→ 要するに、“球種コレクション”ではなく、投球の目的(差を作る)から逆算して選べという主張。
2) スライダーの凄さは「才能」より、早期に掴んだ感覚を“武器として育て続けた”こと
- スモルツ級と評されるスライダーについて、ダルビッシュは「メジャーで覚えた」ではなく、中学でコーチに握りを教わった瞬間から投げられたと語る。
つまり“原型”はかなり早い時期にできていた。 - ただしダルビッシュは「器用だから」ではなく、
小さい頃から毎日やってきた量と時間が違う=やり方を知っている
と説明する。これは「再現性」を重要視する投手の言い方で、偶然の当たりではなく、成功する操作を言語化・手順化して持っているニュアンスがある。 - ナックルを練習しない理由も投球観が出ている。
ナックルは「自分で変化を決められない(空気抵抗任せ)」から面白くない。
逆に言えば、ダルの変化球観は “自分がこう操作したらこうなる”を積み上げるタイプで、設計思想と一致している。
3) 1球ごとのフォーム変化は「崩れの結果」だけでなく「タイミング操作」として使う
- 高木が注目したのは、足上げ〜溜めの作り方など、フォームの“見た目”が時々変わること。
ダルビッシュはこれを- バランスが崩れて意図せず変わる時
- わざと“ずらす”時(意図的に変える時)
の両方があると認める。
- 高木の問題意識は「一定のタイミングで来る投手は打者が合わせやすい」という点。
ここでの“フォーム変化”はフォーム改造ではなく、打者のタイミングの取り方(待ち方)を壊すための微調整として語られている。 - 高木自身も「足上げを小さくしたり、逆に大きく溜めを作ったりしてタイミングを変える」例を挙げ、ダルビッシュも「いろいろします」と同意。
→ これは 球種や球速の変化だけでなく、“モーションの時間差”で差を作るという投球術の話。 - ただしダルビッシュは「メジャーではタイミングを変える投手は少ない」とも言い、バーランダー、デグロム、大谷などを例に挙げる。
つまりこれは必須技ではなく、必要になれば戻せる/使える“オプション”として捉えている。
これらの投球術を一言でまとめると、
「自分の直球を起点に、差を作る変化球を設計し、必要ならモーションの時間差でも打者のタイミングを壊す」
──この2階建てが、ダルビッシュの“技術としての投球”の考え方として語られています。
