元巨人の鈴木尚広は、リードを“ただ広げる行為”としてではなく、スタートの質を上げるための準備として捉えています。
ポイントは、派手なテクニックよりも「先に整えること」「見ておくこと」「自分の最適解を作ること」。
こちらの動画の内容をまとめていきます。
参照:【鈴木尚広】リードそんなに取るの!?リードの取り方の基本!
1. リードで最初に守るべき「2つの注意点」
鈴木がまず強調するのは、ベースから離れる前にやるべき基本です。
注意①:投手がセットに入る前に“決めた位置”まで出る
ゆっくりリードを取りに行くと、投手がすぐ投げた場合に出遅れます。
だから 「投手がセットに入る前に、自分の決めたリード幅に収めておく」。これがスタート以前の最低条件です。
リードの取り方自体は、歩いてもクロスステップでも構わない。ただし意識は一つ。「素早く出る」。
注意②:牽制の速さは“ボールの持ち方”で変わる
右投手なら特に、投手がボールをどちらに持っているかを確認する。
- グラブ側に持っている → 牽制は比較的遅い
- 利き手側に持っている → 牽制が速い(=危ない)
リード中にここを見ておけば、逆を突かれにくく、牽制が来ても戻りやすい。
そして、もっとも大事なのは——投手から目を離さないこと。鈴木はここを“最重要”として押さえます。
2. リード幅に「正解はない」。だから自分の“帰れる幅”から始める
鈴木自身の現役時代のリードはかなり大きい。ただし彼は「これは努力して獲得した幅」だと断り、誰にでも最初から勧めません。
むしろ提案は逆です。
- 最初は 牽制が来ても確実に帰れる幅 でいい
- 自信がついたら、少しずつ増やしていく
プロでも考え方はバラバラで、牽制を強く意識する選手もいれば、別の意識配分で成り立っている選手もいる。だから「答えはない」。
大切なのは、他人の型をコピーするより、自分が不安なくスタートできる“自分のリード幅”を知ることだと言います。
リード幅が“自分のもの”になると、「スタートしなきゃ」「牽制が来たらどうしよう」といった余計な思考が減り、結果としてスタートの質が上がる——この整理が鈴木らしいところです。
3. リード後の「構え」――鍵は股関節と“ハマる高さ”
リード幅を取ったら、次は“構え”。ここで鈴木が繰り返すのが股関節の重要性です。
- 低すぎると力みやすい
- 高すぎると力が抜けてしまう
- ちょうどいい高さだと、股関節が「パチッとハマる」感覚が出る
この“ハマるポイント”を、自分で試行錯誤して見つけてほしいというスタンスです。
手の位置も同様で、膝についても離しても構わない。要は 「自分がタイミングを取りやすい形」 を選ぶこと。
4. “動”から“動”
構えている時間が長いほど、人は硬くなる。頭の中でも体でも、何かしらリズムを作っておくことが大事だと話します。
- 足を小さく動かす
- 手でタイミングを取る
- 「動から動へ行ける」イメージを作る
止まっている“静”の状態からいきなり飛び出すのは難しい。だから、自分の中で“動きの流れ”を持った構えにしておくと、帰塁もスタートもすぐにできる——という考え方です。
5. スタートのコツ――右足が邪魔するなら「少し引く」
最後はスタート。鈴木は、左足と右足が平行だと1歩目が出にくいと言います。
上手い人は右足をうまく起こせるが、苦手な人はそれができず、ピッチャー方向に体が流れてスタートが遅れる。
そこで勧めるのが、右足を少し引いておく形。
- 右足が邪魔しない
- 一直線に走り出せる
- 結果として塁間を“最短”で走れる
この工夫ができると、「足がめちゃくちゃ速くなくても、良いスタートが切れるようになる」と締めています。
まとめ:リードは“幅”の話ではなく、「意識・構え・スタート」を整える作業
鈴木尚広のリード論を一言でまとめるなら、盗塁は脚力ではなく、準備の精度で勝つ。
- セット前に素早く決めた位置まで出る
- ボールの持ち方で牽制の速さを読む
- 投手から目を離さない
- まずは帰れる幅→自信で広げる
- 股関節がハマる高さと、自分のタイミングの形を作る
- 右足を少し引いて、一直線のスタートを作る
「決まった正解はなく、自分に合った形を考えて作り上げていく」
これこそがリードの“正解”です。
