カウント途中での代打
野球規則上、故意ではないアクシデントやプレイ続行不可能な故障(自打球など)を被った場合を含めて、バッターボックスに立った打者がカウントの途中であっても、かわりの打者を代打として送ることができる、と定められています。
もちろん、そうした偶発的な事故が起きなくても、ベンチの判断によってもカウント途中での代打は可能ですが、その場合スコア上の記録はどうなるのでしょうか?
なかなか起きないシチュエーションではあるものの、実際にその場面に直面した場合に焦らないよう、知識として抑えておきたいところです。
実際にあった交代劇 @ 神宮球場生観戦
2025年4月17日のプロ野球セリーグ公式戦、東京ヤクルトスワローズ 対 阪神タイガース[第4回戦]の一戦でも、そうしたシチュエーションが起きました。
開幕から怪我の影響で出遅れていたヤクルト・村上宗隆選手が、この日ライト守備でスタメン出場。試合終盤にはシーズン初安打を放つなど、大いにスタンドを湧かせました。
息詰まる攻防の中、1点差の9回裏で迎えた村上選手の打席にて。阪神・岩崎優投手が投じた2球目を村上選手が空振りした直後、顔をゆがめて不調を訴え、そのままベンチに下がってしまうという事態が起こりました。おそらくは故障箇所が完全に癒えないまま、スタートダッシュにつまづいたチームの危機を救うべく志願の緊急出場だったのでしょう(村上選手はその後、オールスター明けの8月1日の復帰戦まで、再び長期間の欠場を余儀なくされたのでした。)
村上選手の代打として赤羽由紘選手が送られて打席に立ったのですが、この場合の打席記録はどのように記載されるべきなのでしょうか。以下が、実際のスコアです。

- 9回裏ツーアウト、打席に立った村上選手が1ボール1ストライクの状態でベンチに下がり、赤羽選手が代打として交代。カウントはそのまま引き継がれ、3球目となる投球を打ち、ショートゴロ。
赤羽選手は、村上選手が交代前までのカウントを引き継ぎ、1ボール1ストライクの状態で、3球目の投球に向かうことになりました。リザルト的には、その3球目を打った打球がショートを強襲(?)してエラーを誘い、結果土壇場の同点となって試合は延長戦へともつれ込むことになります(※その後、11回表に近本光司選手によるソロホームランが飛び出し、ヤクルトは惜敗)。この打席での結果はもちろん、赤羽選手のものとしてリザルトが記録されました。
代打前の打者のカウントが「2ストライクだった場合」の特殊な記載ルール
ただし、今回の例ではありませんが、スコア上での記録のルールにおいて、特に以下の状況だった場合にのみ、似たようなシチュエーションでのリザルトが、代打を送られる前の打者につけられることが唯一決められています。
・代打が送られた際のカウントが既に2ストライクであり、その後代打に替わった打者が三振を喫した場合
要は、三振に至る結果は、前の打者が2ストライクまで追い込まれていたことが要因であるとされるため、このようなルールになっているのですね。実際に「三振」のコールを審判から受けたのは代打の打者ではあるのですが、実際の「三振1」の記録は前の打者につく ― “極めて合理的な記録上の判断”と言えます。
特に、三振数や三振率はバッターの実力を測る上でも大変に重要なデータとなるため、プロ野球観戦に限らずアマチュア野球の現場においても、ぜひ覚えておきたいスコア記録上のルールの一つです。
