【徹底分析】DeNA2位の陰のMVP ― “ハマのガッツマン”桑原将志が去った後、ベイスターズは何を失うのか

目次

1. 2025年のバッティング内容

① 成績の全体像

2025年(DeNA)

  • 試合:106
  • 打席:447
  • 打率:.284(セ4位)
  • 出塁率:.348(セ7位)
  • 長打率:.382
  • 本塁打:6
  • 安打:113
  • 盗塁:10(盗塁死0で成功率100%)
  • 得点圏打率:.306(72打数22安打)

ポイント

  • 2024年の.270/.321から、2025年は.284/.348へと「率と出塁」がしっかり上昇。
  • 得点圏で.306と、上位打線として「点に直結する安打」が増えた。
  • 通算1000安打も達成しており、キャリア的にも一区切りとなる復活のシーズンだった。

② どこが良くて、何が注目されたか

1)コンタクト&広角打ちの質

  • 単打+二塁打を中心としたラインドライブ型で、長打率.382ながら「崩されながらも前に飛ばす打撃」が戻った。
  • ビジターで打率.304/出塁率.369と、敵地でより高いパフォーマンス。特に東京ドームでは打率.406・OPS 1.049とドーム球場での適性が極めて高い。同じくドーム球場の西武移籍への要因と言えるか。

2)シーズン後半のギアチェンジ

  • オールスター前:打率.260/OPS .660と“やや物足りない”数字。
  • オールスター後:打率.311/OPS .806と一気にギアアップし、得点圏打率も.450まで跳ね上がる。

→ 前半でフォームやアプローチを試行錯誤し、後半は「割り切って振るゾーンを絞った」ような変化が数字に出ている。

3)相手投手から見て嫌なポイント

  • 得点圏打率.306、AS後は得点圏.450と「チャンスで簡単にアウトをくれない2番打者」。
  • 三振は59と極端には多くなく、追い込まれてからでもゴロで進塁打を打ってくるタイプ。
  • デーゲームでは打率.354/OPS .883と異様に強く、「昼の試合で先発が立ち上がる前に流れを持っていかれる」パターンが多い。

③ チームへの影響と勝利への貢献

  • DeNAは2025年、71勝66敗6分でセ2位。チーム打率.247・本塁打110と“平均~やや上”レベルの打線の中で打率.284/出塁率.348の桑原は明確なプラス要素。
  • パワプロ系の指標評価サイトでは、2025年桑原のWARを2.5と推計しており、「攻守走トータルでまだまだ一線級」と評価。
  • 上位打線で出塁し、クリーンアップに繋ぐ“ガッツマン”として、勝ち試合の多くで1〜2点目の起点になっている試合が目立つ(例:後述の9/2広島戦、10/1ヤクルト戦など)。

2. 来季に向けて:活かせる点と課題(打撃&守備)

① 打撃でそのまま武器になる点

  • コンタクト能力と広角打ち
    • 高打率&三振が極端に多くない点は年齢を重ねても活かしやすい技術。
  • チャンスでの強さ
    • 得点圏.306、AS後は得点圏.450という数字は、メンタル面の強さと状況判断のうまさの表れ。
  • ドーム球場適性
    • 東京ドーム打率.406/OPS 1.049、ビジター全体でも打率.304と、「見やすい屋内球場」で数字が上がるタイプ。

→ 来期は、ドーム球場中心のパ・リーグチームとの対戦で、この特性はそのままプラスに働く可能性が高い。

② 打撃面の課題

  • 交流戦での大失速
    • リーグ戦:打率.304/OPS .760
    • 交流戦:打率.151/OPS .538 と極端に弱く、パの投手への対応に課題
      → スライダーやツーシーム系が多いパの投手への対応、球速帯への慣れなどがテーマ。
  • 長打力は“そこそこ”止まり
    • 本塁打6・長打率.382なので、典型的な中距離打者。
      → チーム事情によっては「もっと引っ張りの強い打球」や「フェンス直撃のツーベース」を増やしたい。
  • 四球の数(もう一伸びの余地)
    • 四球率約6.7%+死球2.0%で、合計8.7%程度の“まずまず”の出塁。
      → 完全な出塁特化型1番というよりは「コンタクト寄り2番」。カウント有利の時にもう少しボール球を見切れれば、出塁率.360台も狙える。

③ 守備での現状と課題

  • 数字上はまだ優秀
    • 外野守備率.990(104試合197刺殺2補殺2失策)で、セ外野手中5位。
  • ただし“衰え”の指摘も増加
    • 分析記事では「守備の衰えが顕著で、最近はレフトでの出場も増加」とされており、UZR等では以前ほどのプラスが出ていないとの見解。
    • 一歩目の反応や遠投の肩の精度にやや陰りがある、という指摘も。

守備の課題と有効な起用法

  • センターをフルシーズン任せるより、
    • センター+レフトを併用
    • 終盤は守備固めと分業
      といった使い方の方が、総合的な負担管理には良さそう。

④ 来季どのくらい活躍できそうか(ざっくり予測)

年齢(32歳)とここ数年の推移、2025年WAR2.5前後という評価から考えると:

  • 打率:.270〜.285
  • 出塁率:.330〜.350
  • 長打率:.370〜.390
  • 本塁打:5〜8本
  • 盗塁:5〜10個(高成功率を維持)
  • WAR:2.0前後

レギュラークラスとしてまだ一線級。ただし“打って守って走って全部トップ”というピークは過ぎ、打撃寄りのバランス型」くらいのイメージ。

3. 四球・進塁打・犠打など、HR以外の出塁&つなぎ能力

2025年の細かい数字(NPB+BaseballDataより)

  • 四球:30
  • 死球:9
  • 犠打(主に犠バント):10
  • 犠飛:0
  • 得点圏打率:.306(72打数22安打)

特徴

  1. “そこそこ選べる”タイプ
    • 四球率6〜7%は、超選球眼型ほどではないが、下位打線よりは明らかに上。
    • 死球も多く、結果的に出塁率は打率+約.060と悪くない。
  2. 進塁打・犠打での貢献
    • 犠打10は2番・1番としては十分な数で、ランナー1塁での送りや、ランナー2塁での右方向ゴロなど「アウトになっても仕事をする打席」が多い。
  3. 犠飛ゼロという面白い傾向
    • 得点圏で打率.306とヒットで返すケースが多く、「外野フライで1点」というパターンが数字上は少ない。
      → 高めを捨てて低めを打ちに行く傾向が強い、あるいは高く上がるフライよりライナー系の打球が多い可能性。

課題

  • 四球をもう少し増やせれば、1番打者としても超一流クラスの出塁率に乗せられる。
  • 3塁ランナーを確実に返す犠飛のバリエーションが増えると、より「勝負強さ」を印象づけやすい。

4. 埼玉西武ライオンズ移籍での強化ポイント

① チーム状況(2025西武)

  • 2025年:63勝77敗3分、パ5位。
  • チーム打率.232、本塁打80。防御率2.99と投手は安定しているが、打線は依然として弱い。

→ 「投手は良いのに点が取れない」典型的な貧打チーム。

② 打線面での強化

  • 打率.284/出塁率.348クラスの1〜2番に定着できれば、
    • ポイントゲッターがいなくても“線”としての攻撃力は明確にアップ。
    • チーム打率.232ラインを押し上げる「安定して2本ヒットを打てる外野手」はかなり貴重。
  • ベルーナドームでの適性も、東京ドーム成績から見る限りポジティブに働く可能性が高い。

③ 守備・戦力バランスへの影響

  • センターまたはレフトに「守備率.990の経験豊富な外野手」を置けるのは明確な安定要因。
  • 若い外野手にとっては、
    • 打撃・守備・走塁の“お手本”
    • ベンチや練習での声かけ
      といったメンタル面・文化面のプラスも大きい。

④ 勝率への影響(ざっくりイメージ)

  • 2〜2.5WARクラスの選手が1人加わると、単純計算で「2〜3勝分」の上積みが見込めると言われる。
  • 2025年63勝→仮に+3勝とすると66勝レベル。優勝争いまでは遠いが、Aクラス争いからのCS進出圏内には、十分絡めるライン

5. DeNAから見た流出インパクト(打線・守備・戦力)

① 打線

  • 打率.284の上位打者が抜けると、
    • 1〜2番の安定感
    • 得点圏での“あと1本”
      が目に見えて減る可能性。
  • 蝦名度会らが穴を埋める形になるが、「守備も含めてフルに計算できるリードオフマン」は確実に1人減る形に。

② 守備

  • センターを守れる実績者が1人減ることで、
    • 蝦名・神里・若手の誰かに負担増 → 選手にとっては、チャンス増とも言える
    • 終盤リード時の守備固めパターンが減る
      など、細かいところで勝ちを取りこぼすリスクは上がる。

③ チーム勝率への影響

  • 2025年DeNAは71勝66敗6分(勝率.518)
  • 桑原クラスのWAR2前後の外野手が抜け、完全な代替が効かない場合、
    • ざっくり「1〜2勝分」勝ち星が下振れする可能性。
      → 71勝ラインが69勝前後になるイメージで、2位→3位/4位に落ちる境目になり得る。

7. 2025年 技術が際立った“衝撃の試合5選”

① 9月2日(火) 広島 vs DeNA@マツダスタジアム

  • 結果:広島 5−8 DeNA(〇勝利)
  • 桑原:5打数3安打2得点1打点
    • 1回:レフトオーバー二塁打
    • 2回:レフト前安打
    • 4回:レフト前安打
  • ポイント:
    • 初回から連打で試合を決める8得点ゲームの中で、2番として出塁&進塁を重ねた“理想形”。
    • 左方向への打球コントロールが抜群で、「センター返し+流し打ち」が極まった試合。

② 9月7日(日) DeNA vs ヤクルト@横浜スタジアム

  • 結果:DeNA 3−2 ヤクルト(〇勝利)
  • 桑原:4打数1安打1得点1打点(決定的な同点ソロ)
    • 6回:左中間へのソロ本塁打(3−2の勝利に直結)
  • ポイント:
    • ロースコアの接戦で、6回の同点ソロという最も重い場面で一振り。
    • コンパクトなスイングで左中間へ運んだホームランは、「中距離打者としての最大値」が見えた打席。

③ 9月4日(木) 広島 vs DeNA@マツダスタジアム

  • 結果:広島 0−1 DeNA(投手戦を制する完封勝ち)
  • 桑原:2打数1安打1打点1犠打
    • 3回:左前タイムリー(この1点が決勝点)
    • 6回:送りバント成功
  • ポイント:
    • 1−0ゲームの唯一の打点+試合運びを支える犠打。
    • “派手さはないが、勝ちに直結する職人芸”が凝縮された試合。

④ 8月2日(土) 巨人 vs DeNA@東京ドーム

  • 結果:巨人 4−7 DeNA(〇勝利)
  • 桑原:5打数3安打2得点2打点1本塁打
    • 東京ドームでの成績はシーズンを通じて打率.406/OPS 1.049と鬼門どころか“庭状態”。
  • ポイント:
    • 巨人を相手にビジターで3安打&ホームラン。
    • 打球の角度・飛距離ともに完璧で、「ドーム球場での対応力」が際立った一戦。

参照:【ハイライト・8/2】DeNA3試合連続2ケタ安打で3連勝!ビシエドNPB復帰後初安打初打点!宮﨑ポール直撃の2号2ランHR【巨人×DeNA】

⑤ 10月1日(水) DeNA vs ヤクルト@横浜スタジアム

  • 結果:DeNA 9−6 ヤクルト(〇勝利)
  • 桑原:3打数3安打2得点
    • 1回:ライトオーバー二塁打
    • 3回:レフト前安打
    • 4回:遊撃内野安打
  • ポイント:
    • 序盤から3安打でチーム18安打の大爆発を牽引。
    • 右へ左へ、強い打球から内野安打まで“あらゆる形のヒット”を見せた、まさに「打撃職人」のショーケース。
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