1.2025年シーズンの成績と「飛躍の中身」
トータル成績
- 25試合登板(すべて先発)
- 11勝4敗
- 防御率2.07(セ・リーグ3位)
- 投球回:156回1/3
- 被打率:.217
- WHIP:1.02
- 奪三振:131、BB/9:2.07、HR/9:0.52、QS率64%
そして極めつけが「得点圏被打率 .168」で、規定投球回投手の中では12球団2位という数字。ピンチでの「打たれなさ」は、ほぼリーグ最上位クラスでした。
開幕からは36イニング連続無失点と報じられ、5月25日時点では防御率1.21。早々に「今季もタイトル争いに絡むエース」として全国区の話題になりました。
打者を苦しめた“球質”と投球術
球速が上がったストレート
- 平均147.7km/h(2024年から約+1.3km/h)
- 最速154km/h
- 投球割合:34.4%
- 被打率:.253
球威そのものが一段階上がったことで、「見せ球」だった高めストレートが、空振りを取りにいくフィニッシュボールとしても使えるようになりました。特に右打者の内角高めにズバッと差し込む球は、ファウルすら打てない場面も多く、打者のタイミングを強制リセットする“リセットボール”になっています。
真の決め球はフォーク
- 投球割合:25.1%
- 被打率:.172
- 奪三振:56個(全奪三振の約4割をフォークで獲得)
ストレートと同じ腕の振りから、打者の手元で鋭く落ちるフォーク。
高めストレートで視線を上げてから、膝元へ一気に落とす配球は、2025年の山﨑を象徴するパターンでした。
- カウント有利(0-2、1-2)ではフォーク主体で三振狙い
- ボール先行(2-1、3-1)では、低めにフォークを集めてゴロを量産
三振だけでなく、ここでダブルプレーを取ることで球数を抑え、終盤までゲームを作る――その「省エネ」と「支配力」を両立していたのが2025年版です。
カットボール&シュートの“サンドイッチ”
- カットボール:被打率.213、4被本塁打
- シュート:被打率.265
- スライダー:被打率.177と抜群の安定感
右打者には内角シュート、外角ギリギリにカットボール。
左打者には、外へ逃げるスライダーとフォークのコンビネーション。
ストレートの球威が増したことで、変化球は「見せ球」ではなく、ストレートをさらに速く見せる“補強材”として機能。相手打者からすれば、
「速いのか、落ちるのか、曲がるのか、どれかを捨てないと打席に立てない」
そんな状態に追い込まれていました。
ピンチで光った「失点回避能力」
得点圏被打率.168は、まさに“ピンチ専用モード”の数字です。
- ノーアウト二・三塁では、まずフォークで1つ三振
- 続く打者にはシュートで詰まらせて内野ゴロ
- 1点もやれない場面では、最後はストレートでねじ伏せる
こうした「三振/ゴロ/フライ」を状況に応じて選べる引き出しの多さが、2025年の山﨑の最大の武器でした。
チームへの影響
読売ジャイアンツの2025年最終成績は、70勝69敗4分の3位。チーム防御率は2.95でリーグでも上位の数字です。
そのなかで山﨑は、
- 読売の先発陣で最多の投球回(156回1/3)
- 防御率リーグ3位
- 得点圏では12球団屈指の粘り
という「エースの条件」をほぼ満たし、Aクラス死守の土台をつくったと言えます。
連敗中にきっちり試合を作る「連敗ストッパー」としての役割も大きく、数字以上に“精神的な支柱”だったシーズンでした。
2.来季2026年への活かしどころと課題
そのまま伸ばしたい“武器”
- フォーク主体の決め球パターン
- 2025年の決め球として完全に確立。フォーク中心の配球を継続できれば、来季も奪三振率7.5前後は十分狙えます。
- 得点圏でのギアチェンジ
- 得点圏被打率.168という数字は、一朝一夕では作れません。ここを維持できれば、防御率タイトルは常に射程圏。
- 平均球速アップの維持
- ストレート平均147.7km/hは、リーグでも上位の平均球速。ここを維持しつつ、終盤まで落とさないスタミナが鍵になります。
克服すべき課題
- 球数の多さと終盤の失点
- 7回を投げ切る試合が多い一方で、100球を超えたあたりからの被安打がやや目立つ試合同様に、8回以降に崩れた試合もちらほら。
→ もう一段階、省エネ投球を身につけられれば、完投の増加&シーズン180回も見えてきます。
- 7回を投げ切る試合が多い一方で、100球を超えたあたりからの被安打がやや目立つ試合同様に、8回以降に崩れた試合もちらほら。
- カットボールの被本塁打
- 被打率は悪くないものの、4被本塁打と、一発につながるケースが多かったのがカットボール。
→ 左打者の外角を攻める際の配球バランスをどう整えるかがポイントです。
- 被打率は悪くないものの、4被本塁打と、一発につながるケースが多かったのがカットボール。
- 夏場以降のコンディション維持
- 8月以降、被安打が一時的に増えた試合もあり、シーズン終盤に向けた体力配分はさらに磨きたいところです。
来季の活躍予測
- 大きな故障なくシーズンを完走すれば、
- 登板25試合前後
- 投球回170回前後
- 防御率2点台前半~中盤
- 二桁勝利(12~14勝クラス)
は十分に現実的なライン。
もはや「ローテの柱」ではなく、“タイトル常連クラスのエース”として見ていい段階に入っています。
3.2025年「技術が際立った試合」5選
① 4月2日 vs 中日(バンテリンドームナゴヤ)
- スコア:中日0-2巨人(巨人勝利)
- 成績:8回 5安打 無失点 7奪三振
開幕カードでいきなり見せた“完成形に近い”山﨑。
インコースへのシュートで詰まらせ、決めにいく場面ではフォークで三振。
「今年のエースは俺だ」と、ローテ全体にメッセージを送ったようなシーズン初白星でした。
② 4月9日 vs DeNA(横浜スタジアム)
- スコア:DeNA3-6巨人(巨人勝利)
- 成績:8回 2安打 無失点 8奪三振
敵地・横浜でDeNA打線を完全封じ。特に中軸の左打者に対しては、
- 外角いっぱいのカットボール
- 同じ軌道からストンと落ちるフォーク
でバットの芯をことごとく外しました。8回を投げ終えた時点で球場全体が「今日は打てない」と悟るような、支配的な投球でした。
③ 4月16日 vs DeNA(東京ドーム)
- スコア:巨人5-0DeNA(巨人勝利)
- 成績:7回 5安打 無失点 10奪三振
この試合が、2025年山﨑の“完成形サンプル”と言っていいかもしれません。
- 高めストレートで空振りを奪い
- カウントを取るカットボール
- とどめは低めフォーク
で、二桁となる10奪三振。相手先発がエース級のバウアーだったことも相まって、「エース対決を制した男」として評価を一気に押し上げた一戦でした。
参照:【読売ジャイアンツ×横浜DeNAベイスターズ|岡本和真が2ホーマーの大暴れ|ハイライト】2025年4月16日 ハイライト
④ 6月5日 vs ロッテ(ZOZOマリンスタジアム)
- スコア:ロッテ2x-1巨人(巨人サヨナラ負け)
- 成績:9回 3安打 1失点 7奪三振(完投)
結果はサヨナラ負けという苦い夜でしたが、内容は今季屈指。海風が吹くZOZOマリンで、ストレートとフォークを低めに集め、8回まで被安打2。9回に不運な形で同点・逆転を許しましたが、「エースがどんなものであるべきか」を示した、価値ある完投でした。スコア以上に、先発陣に“長いイニングを投げること”の価値を見せつけた試合でもあります。
⑤ 7月4日 vs 広島(東京ドーム)
- スコア:巨人1-0広島(巨人勝利)
- 成績:8回 3安打 無失点 8奪三振
両軍無得点のまま終盤まで進んだ“神経戦”。最大の山場は7回表、一死一・三塁。ここで山﨑は、
- 初球:外角高めストレートで見逃しストライク
- 2球目:同じ軌道からフォークで空振り
- 3球目:内角寄りのカットボールで詰まらせ、サードゴロ併殺
という、教科書のような“打者の逆算を逆手に取る”配球で脱出。その裏に巨人が奪った1点を最後まで守り切り、「1点を守り切る投手」としての信頼を決定づけたゲームでした。
