10月30日の日本シリーズ第5戦(甲子園)は、11回表にソフトバンクの野村勇が右翼フェンス越えのソロ本塁打。これが決勝点に。
目次
野村勇の成績(2025)
レギュラーシーズン
- 試合 126/打席 413/打数 376
- 安打 102/二塁打 16/三塁打 0/本塁打 12/打点 40/盗塁 18
- 三振 122/四球 25/死球 5/犠打 5/犠飛 2
- 打率 .271/出塁率 .324/長打率 .410
ポストシーズン内訳
クライマックス・シリーズ(ファイナル)
- 試合 6/打席 21/打数 21
- 安打 4/本塁打 2/打点 2/三振 9
- 打率 .190/出塁率 .190/長打率 .476
日本シリーズ
- 試合 5/打席 13/打数 12
- 安打 3/本塁打 1/打点 1/三振 4/四球 1
- 打率 .250/出塁率 .308/長打率 .500
(参考)ポストシーズン通算(CSF+日本S・2025)
- 試合 11/打席 34/打数 33
- 安打 7/本塁打 3/打点 3/四球 1/三振 13
- 打率 .212/出塁率 .235/長打率 .485
短評:レギュラーで出塁.324×長打.410の土台を作り、短期決戦では一発(計3HR)で勝負を動かす役割を果たしました。特に日本シリーズでは決勝弾を含む.250/.308/.500と、限られた打席で高い“決定力”を発揮しています。
ソフトバンクのチーム打撃成績(2025)
レギュラーシーズン
- 試合打席 PA 5,399/打数 AB 4,785
- 得点 551/安打 1,229(二塁打 186/三塁打 29/本塁打 101)
- 盗塁 98(刺 24)/犠打 95/犠飛 33
- 三振 1,130/四球 436/死球 50/併殺 89
- 打率 .257/出塁率 .323/長打率 .371/OPS .695(OPS+ 110、ISO .114、BABIP .314)
ポストシーズン(CS+日本シリーズ)
- 試合打席 PA 412/打数 AB 371
- 得点 28/安打 88(二塁打 13/三塁打 4/本塁打 9)
- 盗塁 3(刺 1)/犠打 6/犠飛 1
- 三振 103/四球 28/死球 5/併殺 5
- 打率 .237/出塁率 .299/長打率 .367/OPS .665(OPS+ 105、ISO .129、BABIP .304)
長打力はPSでHR 9/ISO .129と“効率良く一発が出た”一方、打率・出塁はRSより低下(.257/.323 → .237/.299)。三振率はPSで上昇(投手レベル上昇の影響)しつつ、OPS+は110→105と「リーグ平均比ではほぼ同等の打撃価値」を維持しました。
短期決戦では本塁打狙い
短期決戦で「本塁打狙い」に振れやすい理由を、戦略・相手投手・本人の打撃設計の3層でまとめます。
1) 戦略(ゲーム理論)
- 一発の“勝率レバレッジ”が大きい
短いシリーズは1点の重みが通常より大きく、一振りで局面をひっくり返せる本塁打の期待値が上がる(単打の連結に依存しない)。 - 好投手・勝ちパが増え“連打が起きにくい”
先発は早め降板→高品質リリーフの継投が基本。細かく刻む得点モデルが成立しにくい=長打志向が合理的。 - 打席機会が減る
ポストシーズンは守備固め・代打策で打席が削られがち。「打てる球だけ強く」に割り切る意思決定が増える。
2) 相手投手側の事情(狙いどころが生まれる)
- 同点・延長の先頭は“ストライク取り”が増える
四球を嫌う状況で中段〜外寄りの入れ球が増え、狙い球限定がハマりやすい。 - スカウティングの副作用
「待てば落ち球」と読まれやすい場面ほど、投手は1球目はゾーンに入れたい心理が働く。初球〜1-0の甘い球を逃さずスイングする設計が理にかなう。
3) 本人の打撃設計(レギュラーシーズン→短期決戦への調整)
- “ゾーン絞り”の徹底
レギュラー時は出塁や状況打撃も担うが、短期決戦では「甘い球だけフルスイング」に振り切りやすい。結果、見逃し増・三振増と引き換えに長打率↑を狙う。 - ポイントを中寄りに固定(センターライン狙い)
引っ張りに依存せずセンター〜右へ“押し込む”動きにすることで、球場差・風の影響を受けにくい本塁打を再現しやすい。 - スイング軌道の微調整
ロフト角(おおむね20〜30°帯)を意識し、「強いフライ」を増やす配球待ち。ゴロ処理よりアウトでも外野フライの価値を取る選択。
データの裏付け
- HR%の跳ね上がり:RS 12本/413PA ≒ 2.9% → PS 3本/34PA ≒ 8.8%。
小サンプルとはいえ、“打てる球だけ強く振る”ショットガン戦略に振ったシグナルとして自然。 - 長打率の性格:RS .410 → PS .485(CS+日本S計)。出塁は微増〜横ばいでも、長打で勝負を決めるプロファイルに。
まとめ
- 短期決戦は一発の価値が最大化され、連打が成立しづらい環境。
- 投手の“入れ球”が必然的に増える局面をゾーン限定×センターライン狙いで刺した。
- 野村はリスク許容(見逃し・三振)⇄リターン最大化(長打)のトレードオフを、シリーズ設計として受け入れた——だから“狙って打てた”一発が生まれた、という見立てです。
