千両役者揃い踏みの好勝負
DeNA横浜ベイスターズが、本拠地横浜スタジアムにて東京ヤクルトスワローズを迎え撃っての第24回戦の一戦を、テキスト観戦ながらスコアパッドに記載しました。初回、蛯名達夫選手(YB)による先頭打者アーチから劇的に幕を開けた試合でしたが、中盤に勝ち越しとなる村上宗隆選手(YS)の第21号2ランが飛び出したかと思えば、終盤には代打で登場した筒香嘉智選手(YB)が反撃の狼煙を上げる第19号の2ランを放つなど、どちらのファンにとってもゲームセットの瞬間までほんとうにヤキモキさせられる、一進一退の攻防が繰り広げられました。
目まぐるしく変わるこうした試合の展開は、ダイジェスト映像でもちろん楽しめるものの、ピックアップされることのない細かな試合運びの妙も、記録したスコアを俯瞰して眺めることで、両軍ベンチの思考やバッテリーの思惑などを読み取る手がかりとしても大変有効なものです。
ルーキーのフレッシュさを記録に残せる喜び
さらにこの試合では、シーズン最終盤ということもあって、いずれのチームもフレッシュなルーキープレイヤーの選手を打席に送りました。両者ともこれがプロ初打席となる、田内真翔選手(YB – 2回裏)と、西村瑠伊斗選手(YS – 4回表)の二人です。
凡打に斃れた田内選手に対して、村上選手の出塁時に代走として出場し、その後に迎えたチャンスの打席で、プロ初安打がタイムリーヒットとなった西村選手。結果的にこれが、一点差ゲームの勝利に絡む貴重な追加点となり、二人の明暗はくっきりと分かれる格好となりました。
さらに西村選手は、村上選手に替わってそのままサードの守備に入った後は、途中でライトへとコンバートされ、初めてとなるプロ一軍の試合で打席、内野守備、そして外野守備をこなすという、極めて貴重な機会を伴った記念すべき一日となりました。
村上から西村へ― 。
まさに新旧交代を印象づけるシーンを記録として残せる喜びは、スコアマニアからすると相当に格別なものがあります。まぁ、”新旧”と言っても、村上選手はまだ25歳の若さですが(笑) 。田内、西村両選手が今後活躍した際に、彼らのプロとしての出発点を振り返ることのできる貴重な記録として、大事にしておきたいと思います。
引退を表明した選手が登板するという釈然としない思い
一方、そうしたフレッシュな話題とは相反して、今季かぎりでの引退を表明した森唯斗選手(YB)が、一点ビハインドの場面で登板し、長岡秀樹選手(YS)からの奪三振を記録し、現役最後のマウンドを締めくくりました。なお、この三振で森選手は通算500奪三振を記録し、引退に華を添えました。
、、、と普通なら美談で締めくくられる展開のようにも思えますが、真剣にスコアをつけいている身からすれば、どうにも釈然としない、というのが正直なところです。ビジターゲームであり、既に引退を表明した上でマウンドに上がった投手に対して、現役のバッターがどれだけ真剣に、打席に向かって相対することができるものかと考えると、その結果によって得られた”記録”には、個人的に非常に違和感を感じざるを得ませんでした。
こうした結果も、スコアブック上においては”公式記録”として残っていくものであり、記録こそがプロ野球の歴史と言っても過言ではないでしょう。現に、打者による安打や本塁打の本数や、投手における勝利数や防御率といった枚挙に暇ない数多くのデータは、こうした記録が公式記録員の手によって集計され、積み重なったものであることが明白だからです。
その点からすると、先年に引退を表明しながら公式戦での引退登板を頑なに拒否したソフトバンク・和田毅さんの見解こそ、本来あってしかるべき「記録=プロ野球の歴史そのものに向き合う態度」と考えるのは、果たして筆者だけでしょうか。


