【野球人の教科書】大谷翔平のトレーニングを徹底解説——重要なのは“狙い”と“再現性”

大谷翔平といえば、打撃・走塁・投球全てが超一流ということに異を唱える人はいないでしょう。
大谷がどうしてそれだけのパフォーマンスをすることができるのか。
それには様々な要因がありますが、今回は彼が行っているトレーニングについて解説している動画を紹介します。

草野球プレイヤーや指導者の方に向けてのポイントもまとめてみましたので、そういった方に読んでいただけると嬉しいです。

参照:大谷翔平のトレーニングがいかに素晴らしいか解説する【筋トレ】

動画の解説者である今古賀翔氏が繰り返し強調しているのは、大谷翔平のトレーニングが「重いものを持てる」からすごいのではなく、競技パフォーマンスのために、正しい狙いで、崩れないフォームを積み重ねていることです。

野球経験がない今古賀氏ですら「トレーニングを見れば、突き抜けた選手だと分かる」と言い切るほど、動きの質が安定している。つまり、私たちが学ぶべきは“重量”よりも、フォーム・可動域・狙いのある種目選びです。

目次

1. いちばん大事な前提:「エゴリフティング」をしない

今古賀氏が最初に挙げる大谷の特徴は、いわゆるエゴリフティング(見栄で重量を追い、フォームを崩すトレーニング)をしないこと。

  • 重さにこだわって勢いをつけない
  • 可動域を削らない
  • フォームを崩さない
  • 体幹が安定し、バーの軌道も整っている

ベンチプレスの例では、グリップ、手首、腕の角度、胸のアーチ、体の安定、バーの軌道まで“普段から積み上げている人の動き”だと評しています。

草野球・育成での学び

「フォームが崩れる重さは、まだ自分の重さじゃない」
この判断ができるだけで、ケガの確率は大きく下がり、成長は速くなります。

  • 大人:仕事や家庭があるほど、ケガは致命的。重量より再現性を最優先。
  • 小中学生:成長期は特に「可動域を保った丁寧な反復」が勝ち筋。

2. 大谷の核は「股関節(ヒップヒンジ)でパワーを作る」設計

この動画で“最もすごいポイント”として挙げられているのが、ヒップヒンジ(股関節の折りたたみと伸展)を上手に使っていることです。

今古賀氏は、人間が最も効率よく大きなパワーを出せるのは股関節だと説明し、大谷はその前提に沿って股関節主導のトレーニングを選び、フォームもそれに最適化されていると見ています。

具体例として挙げられていたのは、次のような種目です。

  • ボックススクワット:普通のスクワットより「後ろに座る」ことで股関節を使いやすい
  • フロント担ぎのリバースランジ:不安定でもフォームが崩れず左右差も少ない(再現性が高い)
  • リバースハイパー:腰への負担を抑えつつ、お尻・股関節を鍛える(長身による腰負担の対策にも)
  • ヘックスバー・デッドリフト:膝主導にすれば重量はもっと伸ばせるのに、あえて股関節重視で挙げている

草野球・育成での学び

野球で欲しいのは「見せ筋」ではなく、地面反力を使って体全体で出すパワー
その中心に股関節がある、という整理は指導にも使えます。

  • 指導者:フォーム指導の合言葉は「膝で潰すより、股関節で折って伸ばす」
  • 選手:走る・投げる・打つの“エンジン”は股関節。下半身トレは「お尻が働いてるか」で評価する

3. “ファンクショナル”より「王道のウェイト」を選び切る

動画は、大谷のトレーニングが「バランスボールで何かやる」ような派手な方向に寄らず、
スクワット・デッドリフト・ベンチプレスなどの基本種目で筋力を作り、スナッチ等で瞬発を補うという“王道”で構成されている点を評価します。

そして今古賀氏は、「王道を選ぶのは地味だけど、取捨選択ができているのがすごい」と捉えています。

草野球・育成での学び

時間も設備も限られる人ほど、王道が効きます。
“なんとなく流行り”より、ベーシックを継続できる仕組みが勝ちます。

4. 実は重要:「良いトレーナーを選べる」ことも能力

動画では、「大谷が全部一人でやっているわけではなく、優秀なトレーナーがいるはず」とした上で、
良いトレーナーを選ぶには、本人にも知識が必要だと述べています。

一見すると“実戦的”に見えるが、実は目的に合わないトレーニング(例として、動作と負荷方向が合わない例、不安定な器具の上で高負荷スクワットのようなもの)に引っかからないには、最低限の理解が要る、という考えです。

草野球・育成での学び

  • 指導者:選手に「何のための種目か」を言語化して説明できると、迷子になりにくい
  • 選手:SNSの“それっぽいトレ”より、狙いが説明できるメニューを選ぶ

5. 「体重の何倍」論に振り回されない

今古賀氏は、デッドリフトを「体重の何倍上げた」で評価・批判する風潮に否定的です。
長身の選手は可動域が広く、引き始めも低くなるなど、単純比較が成り立ちにくい。さらに大谷はパワーリフターではなく、野球の補強として狙いを持ってやっているという前提がある、と言います。

草野球・育成での学び

数字は便利ですが、目的を外すと毒になります。
野球のためのトレは「動きが良くなったか」「ケガしにくくなったか」で評価するのが合理的です。

まとめ:草野球・育成現場が持ち帰るべき3つ

  1. フォームと可動域を守る。重さは後からついてくる
  2. 股関節(ヒップヒンジ)を“エンジン化”する種目選びをする
  3. 王道を選び切る。流行より、狙いと再現性

大谷翔平のトレーニングの凄さは、秘密の裏技ではなく、むしろ逆です。
「基本を、狙い通りに、崩さずに積む」——この当たり前を、誰よりも高い精度でやり切っている。だからこそ、子どもにも大人にも、指導者にも、学びが残ります。

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